ついに辿り着いたYBBL決勝。試合開始前からさすがに選手に緊張の色が見えます。相手は強豪平戸イーグルス。予選では3-0で破っている相手ですが、この日は全力で立ち向かってくることが予想されます。この日先攻のライオンズは初回、相手投手の低めのボールに手を出し、ピッチャーゴロと2三振で三者凡退に抑えられてしまいます。ライオンズの先発は本部大会を1人で投げ抜き、この日までわずか2失点のいっきゅう。初回やはり固さが見られ、ボールが内側に抜け、先頭打者に死球を与えてしまいます。続くバッターがきっちり送りバントでランナーを2塁に進めると、相手3番バッターはレフトオーバーの二塁打。相手に1点を先制されてしまいます。まだ固さが残るいっきゅうは続く打者に四球を与えてしまい1アウト1、2塁。次の打者の打球はセカンドへ。ボールを捕球したセカンドるいがランナーにタッチして一塁へ送球。ダブルプレーにより初回1点でしのぎ、ここから我慢比べが始まります。2回表、1アウトからゆいとがセンター前ヒットで出塁すると、いっきゅうのショートゴロが野選となり、1アウト1、2塁のチャンスを迎えます。しかし続く打者はサードゴロ２つで得点を奪うことができません。3回表もツーアウトからかけるが内野安打で出塁するも無得点。4回表も先頭のあやたがライト前ヒットで出塁し、ゆいとがバントで送りチャンスを迎えますが、相手センターのファインプレーに阻まれ、無得点に終わります。先発いっきゅうは、2、3、4回を三者凡退で相手を退け、我慢比べはまだ続きます。5回の裏、相手先頭打者の打った打球はファールゾーンへ。これに反応したキャッチャーかけるがスライディングキャッチ。続く打者は四球で歩かせますが、次の打者の打球はサードへ。捕球したらいとはこれをセカンドに送球。セカンドるいからファーストへ転送。ダブルプレーでこの回も無得点に抑えます。6回表はしゅんの放ったライトへの打球を相手ライトがダイビングキャッチ。好プレーの応酬で流れはまだどちらにも行きません。6回裏、ライオンズに流れが来るプレーが起こります。バントヒットで相手先頭打者が出塁すると、相手の作戦は送りバント。初球、外の際どいボール球をバッターがバントの構えからバットを引くと、一塁走者がやや飛び出します。これを見逃さなかったキャッチャーかけるからファーストゆいとへ矢のような送球。ランナーをアウトにし、続く打者をサードゴロに抑え、0-1で最終回を迎えます。この回無得点なら試合終了。追い詰められたライオンズ。しかしベンチのムードは最高潮。諦めて下を向いている選手は1人もいません。するとここまで相手打者を抑えてきている先発いっきゅうがレフト前ヒット。4回以来2回目のノーアウトでの出塁。続くちかげが四球を選び、らいとは送りバント。1アウト2、3塁のチャンスを迎えます。ここでライオンズは代打けんたろう。ライナーゲッツーなら試合終了という場面、相手平戸イーグルスは前進守備を引かず、1点はOKという作戦に出ます。これが幸いし、けんたろうの打ったサード前のゴロによりいっきゅうが生還。最終回ようやく同点に追いつきます。2アウトとなりましたが、ここからライオンズ打線が大爆発。続くゆうまが左中間へのヒットで代走なるがホームイン、さらにかけるがレフトオーバーの三塁打で1点を追加。しゅんの四球を挟み、途中出場のえいたがレフト前ヒットでさらに1点。ゆいとが右中間へのヒットで2点。打者一巡でいっきゅうがピッチャーフライに倒れますが、まさに全員野球でこの回6点。大逆転に成功します。7回裏、いっきゅうは落ち着いて相手を三者凡退に抑え、6-1の大勝利。7年ぶり8度目のYBBL優勝を果たしました。勝負を分けたのは、6回裏と7回表。バントを失敗し、ランナーを失ってしまった平戸イーグルス。一方ノーアウトで出たランナーをしっかりバントで進めたライオンズ。たかがバント。されどバント。繰り返し練習したバントが最後に勝敗を分けたのかもしれません。さらに言えば0-1で迎えた7回表のベンチの雰囲気。誰一人諦めている選手はいませんでした。これまでで最も声が出て、最も良い雰囲気でした。12個にも及ぶ優勝旗やカップ。表彰式の光景は圧巻でした。ここに至るまで努力した選手たち、選手たちを鍛えてくれた監督、コーチ、選手たちを支えてきた父母、グラウンドの外で応援してくれた後輩たち。グラウンドに来られないながらも家で応援してくれた後輩たち。いつも応援、支援してくださるOBの方々。そのすべての力が合わさっての優勝でした。必死に優勝を求めてきたこれまで。これからはどのチームも『打倒ライオンズ』を目標に戦ってくることでしょう。追われる立場になりますが、守るのではなく、これまでどおり攻めて、攻めて、相手を寄せ付けない絶対王者を目指してこれからも頑張りましょう。感動を与えてくれた子供たち。ありがとう。
